「Iターン就職はやめとけ」と言われる理由とは？後悔しないためのポイント

「Iターン就職に興味はあるけれど、『やめとけ』なんて声を聞くと不安になる…」
そんな気持ちを抱えている就活生の方も多いのではないでしょうか。

Iターン就職とは、生まれ育った場所や大学のある都市部から離れて、まったく縁のなかった地方で働く選択肢のこと。新しい土地でのスタートは魅力的である一方、不安やリスクがあるのも事実です。ネット上や身近な人から「やめとけ」と言われると、その言葉の裏にどんな理由があるのか気になりますよね。

この記事では、Iターン就職に対してネガティブな意見がある理由を整理しつつ、それでも選ぶ価値がある理由や、向いている人の特徴、成功させるためのコツまで幅広く紹介します。

「本当に自分にとってベストな選択は何か？」を一緒に考えるヒントとして、ぜひ最後まで読んでみてください。

Iターン就職とは？

Iターン就職とは、自分が出身でもなく、大学などで暮らしていたわけでもない「別の地方」で働くことを意味します。
たとえば、東京で生まれ育ち、大学生活も東京で過ごした人が、北海道や福岡などの地方に就職する場合がIターンです。

ここ数年、都会の喧騒を離れて自然豊かな地域で働きたいという若者が増えたことから、Iターン就職に注目が集まっています。地域によっては、若手の移住者を積極的に受け入れようとする動きも強まっており、移住支援金や住宅補助などのサポートが手厚い自治体もあります。

ただし、Iターン就職は「新しい環境でのスタート」になるため、土地勘や人脈がない中で生活を始めるというハードルも存在します。だからこそ、しっかりと情報収集をして、自分に合った選択をすることが大切です。

Uターン就職との違い

就活の中でよく聞く「Uターン就職」との違いも確認しておきましょう。

・Uターン就職：地元を離れて進学した人が、就職を機に地元へ戻って働くこと
・Iターン就職：出身地でも進学先でもない、別の地域へ移って働くこと

Uターン就職の場合、すでに土地勘や人間関係があるため、比較的スムーズに馴染みやすいのが特徴です。一方、Iターン就職はゼロからのスタートになるため、準備不足だと「こんなはずじゃなかった」と感じるリスクもあります。

その違いを理解した上で、自分にとっての「暮らしやすさ」「働きやすさ」を考えることが大切です。

Iターン就職は「やめとけ」と言われるのはなぜ？

ここでは、Iターン就職が「やめとけ」と言われてしまう理由を5つに分けて解説していきます。

地元のつながりがなく、孤独を感じることがある

Iターン就職は、言い換えれば「まったく新しい土地での一人暮らしのスタート」です。出身地でもなく、進学先でもない地域に引っ越すことで、家族や友人、知人などの支えがない状態になります。

特に地方の場合は、地域コミュニティが強固なケースが多く、「よそ者」として見られてしまうことも。地元の人との人間関係を築くには、積極的なコミュニケーションと時間が必要です。

・休日に遊べる友人がいない
・悩みを相談できる相手が近くにいない
・話し相手が職場の人だけになってしまう

こうした状況が続くと、心身にストレスがたまり、「なんでここを選んだんだろう…」と後悔してしまうこともあるのです。

企業数や求人が限られ、キャリアアップが難しい場合も

都市部に比べて、地方は企業の数自体が少なく、特に業種によっては選択肢がかなり限られてしまうことがあります。

たとえば、ITや広告、メディアなどの業界を目指す場合は、拠点が都市部に集中しているため、地方ではなかなか希望の仕事に出会えない可能性も。

また、地方の企業は中小企業が多く、年功序列や保守的な社風が根強いところもあります。そのため、

・キャリアアップのチャンスが少ない
・異動や転職でキャリアの幅を広げにくい
・最先端のスキルや情報に触れる機会が少ない

といった理由で、将来の成長に不安を感じてしまう人もいます。

給与水準が低いことが多く、生活費とのバランスが厳しい

地方は物価が安く、家賃などの固定費も都市部に比べて抑えられるのが一般的です。しかし、それ以上に「給与水準が低い」という現実があります。

特に新卒の初任給では、都市部と数万円の差が出ることもあり、手取りが少ないと生活の選択肢も狭まります。

・毎月の貯金が難しい
・趣味や娯楽にお金を使いにくい
・将来のライフプランが描きにくい

生活費を抑えても、その分の「ゆとり」が感じられないと、長期的に働き続けることが難しくなる場合もあるでしょう。

文化・価値観の違いに馴染めず、ギャップを感じることがある

地方には地方ならではの文化や慣習があります。人との距離感、仕事の進め方、プライベートと仕事の境界など、都市部との違いに戸惑う人も少なくありません。

たとえば、

・プライベートなことを聞かれるのが当たり前の空気
・時間の流れがゆったりしていて、スピード感が合わない
・地域行事やイベントへの参加が求められる

こうした違いにストレスを感じたり、「自分はここに合わないのかも」と不安になってしまうことがあります。

都市部に比べて娯楽やインフラが少なく、不便さを感じる

地方ではショッピングモールや映画館、カフェなどの数が限られており、休日の過ごし方にバリエーションがないと感じることがあります。

また、交通インフラが都市部ほど整っていない場合もあり、

・車がないとどこにも行けない
・終電が早く、飲み会のあとに困る
・交通費や移動時間がかさむ

といった「暮らしにくさ」が日常の中で積み重なることも。

特に学生時代を東京や大阪などの都市部で過ごした人にとっては、このギャップが大きく、「やっぱり都会の方がよかったかも…」という気持ちに繋がることもあるのです。

それでもIターン就職を選ぶ価値はある？

ネガティブな面ばかりが目立つIターン就職ですが、それでも「選ぶ価値がある」と感じる人がいるのも事実です。ここでは、Iターンならではのメリットや魅力について紹介していきます。

生活コストが下がり、ゆとりのある暮らしができる

都市部に比べて地方の家賃や物価は低めに設定されていることが多く、日々の生活にかかるお金を抑えることができます。たとえば、同じ広さの部屋でも、東京では10万円近くかかる物件が、地方では4〜5万円程度で借りられることも。

・毎月の固定費を抑えられる
・広い住まいに住める
・外食や趣味に使えるお金が増える

こうした「経済的な余裕」は、メンタル的な安定にもつながります。都会のような満員電車に揺られる日々とは違い、穏やかな時間が流れる生活を望む人にとっては、大きな魅力です。

自然に囲まれた環境でのびのびと働ける

地方の魅力といえば、やはり自然の豊かさ。海や山、川といった自然に囲まれた環境で過ごす日常は、都市部では得られないリフレッシュ効果があります。

・通勤時に人混みにストレスを感じない
・休日に自然とふれあえるアクティビティが豊富
・空気がきれいで、生活リズムも整いやすい

ストレスが少ない環境で心身ともに健康に働けるのは、長く仕事を続けるうえでとても大切な要素です。

地方ならではの働き方（リモートワーク・副業OKなど）がある場合も

最近では、地方の企業でもリモートワークやフレックスタイム、副業OKといった柔軟な働き方を取り入れる動きが広がっています。

特に若い人材を呼び込みたいと考える企業や自治体は、「働きやすさ」を重視した制度を整えていることが多く、以下のようなメリットがあります。

・通勤に時間を取られず、自分の時間を確保しやすい
・副業やスキルアップの時間を持てる
・仕事と生活のバランスがとりやすい

都市部の企業に比べると、個々の希望を柔軟に聞いてくれる風土も残っているため、自分らしい働き方が実現しやすい面もあります。

地域貢献や新しいチャレンジの機会が得られる

Iターンで地方に移り住むことで、地域に新しい風を吹き込む存在として期待されることがあります。都市部では埋もれがちな一人でも、地方では「来てくれてありがとう」と歓迎され、任される仕事の幅も広がることがあります。

・新しい事業やプロジェクトを任せてもらえる
・地域イベントへの参加や企画ができる
・地方創生の一員として貢献できる

このように、「ただ働く」だけでなく、「地域と関わる」という体験を通じて得られるやりがいは、Iターン就職ならではの魅力といえるでしょう。

Iターン就職に向いている人・向いていない人

向いている人の特徴

Iターン就職はすべての人にとって最適な選択肢とは限りませんが、環境や価値観にマッチする人にとっては、大きなチャンスになります。以下のようなタイプの人は、Iターン就職に向いていると言えるでしょう。

1. 地方暮らしに魅力を感じる人
   自然が好きで、都市の喧騒よりも静かな環境を好む人にとっては、地方での生活はストレスが少なく、快適に感じられるはずです。
   
2. 新しい環境に適応するのが得意な人
   人見知りせず、地元の人たちとの交流を楽しめる人は、地方のコミュニティにも自然と馴染むことができます。価値観の違いを受け入れられる柔軟性も大きな強みです。
   
3. 仕事以外にも充実感を求めている人
   都会でのキャリア重視の働き方とは異なり、地方では「暮らし」や「地域とのつながり」を大切にするスタイルが主流です。仕事以外にも価値を見いだしたい人にぴったりです。
   
4. 自分の力でキャリアを切り開いていきたい人
   地方は都市部に比べて選択肢が限られる分、挑戦できる余地が大きいとも言えます。自ら情報を集め、積極的に動ける人は、Iターンでも十分にキャリアを築いていくことが可能です。

向いていない人の特徴

一方で、以下のような特徴を持つ人は、Iターン就職を選ぶ前に慎重に検討した方がよいかもしれません。

1. 都市の便利さが好きな人
   コンビニがすぐ近くにあったり、交通機関が深夜まで動いていたりする環境が当たり前と感じている人にとっては、地方の「不便さ」はストレスになりやすいです。
   
2. キャリアアップを最優先したい人
   大企業での出世や、転職によるステップアップを考えている場合、地方ではチャンスが限られる可能性があります。スピード感あるキャリア形成を目指すなら、都市部の方が有利です。
   
3. 人間関係に慎重なタイプの人
   地方では人と人との距離が近く、プライベートな話題にも踏み込まれることがあります。これを煩わしく感じる人や、密な人間関係が苦手な人には、やや重荷になるかもしれません。
   
4. 単独行動を好み、地域との関わりを持ちたくない人
   Iターン就職では、地域イベントや住民との関わりが日常的に発生することがあります。こうした活動に興味が持てない人にとっては、地域での生活がストレスに感じられるかもしれません。

Iターン就職を成功させるコツ

Iターン就職を後悔のないものにするためには、入念な準備と適切な情報収集が不可欠です。ここでは、Iターン就職を成功に導くための4つのコツを紹介します。

事前に地域の生活環境や仕事の実態をリサーチする

まず大前提として、その地域でどんな生活ができるのか、どのような企業があるのかをしっかり調べることが大切です。ネット上の情報だけでは分からない現実もあるため、複数の視点で情報を集めましょう。

・家賃相場や交通手段、買い物環境の確認
・希望する職種の求人がどれくらいあるか
・過去にIターンした人の体験談を読む

特に「冬は雪が多くて移動が困難」「車がないと生活できない」など、実際に住んでみないと気づきにくいポイントは要注意です。

企業だけでなく、自治体の支援制度も活用する

地方自治体の多くは、若年層の移住者を歓迎しています。中にはIターン者向けの補助金制度や、就職支援プログラムを用意している自治体もあります。

・移住支援金（最大100万円程度が支給される場合も）
・引っ越し費用や住宅手当の補助
・地元企業とのマッチングイベント

こうした制度を活用すれば、金銭的な負担を抑えられるだけでなく、地元の人とのつながりもスムーズに作れる可能性があります。

住む場所の選択肢を広げ、生活のしやすさを考える

Iターン就職では、勤務先の近くだけでなく、少し離れたエリアも含めて住む場所を検討するのがおすすめです。都市部に通勤できる地方都市や、交通アクセスが良い場所を選べば、暮らしの快適さがグッと上がることもあります。

・交通の便が良く、生活インフラが整ったエリアを探す
・周囲に買い物施設や病院があるか確認する
・自分の趣味に合う場所（自然、温泉、釣りなど）を考慮する

働くだけでなく、毎日の生活がストレスなく送れるかどうかも、定着できるかに大きく影響します。

実際に足を運び、現地の雰囲気を確認する

可能であれば、就職前に一度現地を訪れてみることを強くおすすめします。ネットでは分からない雰囲気や、住民の人柄、街の空気感を体感することで、判断材料がグッと増えます。

・企業訪問やインターンシップに参加する
・市役所や移住支援センターを訪れる
・休日に街を歩いてみる、イベントに参加する

実際にその土地で生活することを具体的にイメージできれば、入社後のミスマッチも防ぎやすくなります。

【体験談】Iターン就職で失敗した人・成功した人の違い

Iターン就職は、実際に経験した人の声を聞くことで、よりリアルな判断材料を得ることができます。ここでは、Iターン就職で「失敗した人」と「成功した人」の違いについて、それぞれのケースを紹介します。

失敗した人のケース

失敗と感じてしまう背景には、いくつか共通するポイントがあります。主なケースを見ていきましょう。

・思っていた環境と違った

事前の情報収集が不十分だった人に多い失敗例です。「自然が多い＝静かで落ち着いた場所」と思っていたら、実際は虫が多くて暮らしにくかった、冬の雪の多さを想定していなかった…といったギャップに悩む声が多くあります。

・人間関係が築けなかった

地元の人との距離感や文化の違いに戸惑い、孤独を感じてしまったケースです。特に、職場以外での人間関係を築く機会が少ないと、生活そのものがつらく感じられることがあります。

・仕事にやりがいを感じられなかった

「地方の企業でもやりがいがあるはず」と期待していたのに、業務内容が単調で成長を感じられない、評価制度が不透明でモチベーションが下がる…といった声も少なくありません。

これらの失敗の多くは、「なんとなくの憧れ」でIターンを決めてしまい、準備や検討が不足していたことが原因になっています。

成功した人のケース

一方、Iターン就職を前向きに捉え、「ここに来てよかった」と感じている人には、いくつかの共通点があります。

・地元の人と積極的に関わった

自分からあいさつをしたり、地域の行事に参加したりすることで、自然と人間関係が築けたという声が多くあります。地方では「受け身」より「参加型」の姿勢が歓迎される傾向があります。

・仕事選びを慎重にした

給与や待遇面だけでなく、社風や将来のキャリアパスまで考慮して企業選びをした人は、入社後のミスマッチが少なく、満足度も高い傾向にあります。

・地域の生活に合わせて柔軟に対応した

「不便なこともあるけど、それも含めて楽しむ」という柔軟な考え方ができる人は、ストレスを感じにくく、地方ならではの生活を楽しめています。

・現地に何度か足を運び、納得して決断した

事前に訪問を重ね、「ここなら暮らしていけそうだ」と実感を持って決めた人は、後悔が少ない傾向があります。現地の人と話し、環境を確かめるプロセスが成功のカギとなっているのです。

まとめ：重要なのは自分にあった選択をすること

Iターン就職には、都市部にはない魅力やチャンスがある一方で、不便さや孤独、仕事の選択肢の少なさといった課題もあります。「やめとけ」と言われるのは、こうしたネガティブな面が原因で後悔してしまう人がいるからです。

しかし、大切なのは「Iターン就職が良いか悪いか」ではなく、「自分に合っているかどうか」を見極めることです。

自分の価値観をしっかりと掘り下げたうえで、情報収集や現地訪問を行い、納得したうえで決断することが何よりも重要です。

また、Iターン就職は「スタート地点」であり、ゴールではありません。たとえ最初の選択に多少のズレがあっても、行動次第で暮らしを快適にし、キャリアを築くことは十分可能です。

この記事を通して、Iターン就職についての不安が少しでも解消され、「自分に合った選択」をするヒントになれば幸いです。焦らず、じっくりと未来の選択肢を見つめていきましょう。