「Uターン就職はやめとけ」は本当？メリット・デメリットと成功のコツを解説

地元に帰って就職しようかな……と思ったときに、ネットでUターン就職はやめとけという声を見かけて不安になった人もいるかもしれません。

都会での就職を目指すべきか、それとも地元での仕事を選ぶべきか。就活生にとって、この選択は将来のキャリアや生活に大きく影響するものです。

この記事では、Uターン就職はやめとけと言われる理由、後悔しやすいポイント、メリット、向いている人の特徴、成功のコツなどを詳しく解説します。最終的にどちらを選ぶべきか、自分にとって最適な答えを見つける手助けになれば幸いです。

そもそもUターン就職とは

Uターン就職とは、進学や就職をきっかけに一度地元を離れた人が、再び地元に戻って働くことを指します。たとえば、大学進学のために東京に出てきた学生が、卒業後は地元の愛知県で就職するようなケースがUターン就職です。

地方で生まれ育った人が、都市部の大学で学んだ知識や経験を活かし、地元でのキャリアを築くという点において地方の活性化などに期待が込められ注目を集めています。

Uターン就職はやめとけと言われるのはなぜ？

就職する本人も慣れ親しんだ地元で働ける上、地方の活性化も期待できるUターン就職ですが、SNSなどネット上を見ると「やめておけ」と言った投稿を目にします。

そして実際にUターン就職をして後悔した経験のある人もいるんです。

では、どのような点やめとけと言われるのか、なぜ後悔する人がいるのかを解説していきます。

求人が少なく、希望の仕事が見つからない

都市部ではさまざまな業種・職種の求人があり、自分のやりたい仕事を見つけやすい環境があります。しかし、地方になるとそもそも求人の数が少なく、希望の仕事が見つからないことがあります。

特に、以下のような職種は地方では少ない傾向があります。

• IT・Web関連（エンジニア、マーケティングなど）
• コンサルティング業界
• クリエイティブ系（デザイナー、映像制作など）
• ベンチャー企業・スタートアップ

また大手が多い都市部では未経験OKの求人も多いですが、地方は中小・中堅規模の企業が多いため、都市部と比較すると経験者優遇の求人が多く、新卒での採用枠が限られるケースもあります。

給与・待遇が都会に比べて低い

地方は生活コストが低い分、給与水準も低めです。特に都市部での大手企業の初任給と比べると、その差は歴然としています。

例えば、東京都内の大手企業の初任給が22〜25万円だとすると、地方では18〜20万円程度になることも珍しくありません。さらに、昇給スピードも都市部の企業に比べて遅く、長く働いても給料があまり上がらず、生涯年収に大きな差が出る可能性もあります。

また、中小・中堅規模の会社が多い分福利厚生が充実していないことも多く、住宅手当や交通費の支給が少ない場合もあります。結果的に都市部の大手と比べると給料は低いのに、生活費も意外とかかると感じる人も少なくありません。

キャリアパスが限られる

都市部では転職市場が活発なこともあり、　社内外でのキャリアアップの選択肢が豊富です。しかし、地方は都市部ほど企業の多様性がないため、キャリアチェンジの転職が難しいことが多く、同業界・同職種での転職か、最初の会社でのキャリアアップを目指すという選択肢が多いです。

また、中小・中堅規模の会社が多い分研修制度やスキルアップの機会が少ない傾向にあり、キャリアの成長が停滞しやすいとも言われています。

地元特有の人間関係やしがらみ

Uターン就職をすると、地元の友人や親戚、知り合いと頻繁に会う機会が増えます。これはメリットでもありますが、人によってはデメリットにもなります。

例えば、親が職場のことをやたらと聞いてきたり、地元の人のつながりが強すぎてプライベートが窮屈と感じることもあります。特に、狭いコミュニティでの噂話や干渉がストレスになることもあり、都会の自由な生活に慣れていた人にとっては大きな違和感を覚えるかもしれません。

情報収集が難しい

都市部の大学に通っている場合、地元企業の情報がなかなか手に入らないことがあります。たとえば、

・地元企業の説明会やイベントが近くで開催されない
・学内での案内が少ない
・大学のキャリアセンターでは都市部の企業を中心に紹介している

このような環境の中で、自分から積極的に調べたり行動したりする必要があるのは、少しハードルになるかもしれません。

それでもUターン就職を選ぶ価値はある？

ここまで読むとUターン就職はやめとけという意見も理解できたかと思います。しかし、だからといって絶対にやめたほうがいいとは言い切れません。

人によっては、都会で働くよりも地元での就職のほうが幸せに感じるでしょう。特に以下のようなメリットからもUターン就職したいという人もたくさんいます。

• 生活コストが下がり、ゆとりのある暮らしができる
• 地元のつながりを活かして働ける
• 地元で家族と暮らしたり、旧知の友人と過ごせる
• 都市部の競争的な環境より安定した働き方ができる
• 地元に貢献できる

生活コストが下がり、ゆとりのある暮らしができる

地方は物価が安いため、都会に比べて生活コストが大幅に下がるのが大きなメリットです。特に以下のような支出は地方のほうが安く済みます。

• 家賃（東京都内だとワンルームで8〜10万円、地方なら3〜5万円程度）
• 食費（地元のスーパーのほうが安い場合が多い）
• 交通費（電車通勤が不要になり、車通勤で節約できることも）

仮に給料が都会よりも低かったとしても、生活費が抑えられる分、実際に手元に残るお金はそれほど変わらないこともあります。また、無理なく貯金ができたり、趣味や旅行にお金を使いやすくなったりするのも魅力のひとつです。

地元のつながりを活かして働ける

地元での就職を考える場合、知り合いの紹介や地元企業とのつながりを活かせることもあります。

例えば、大学のOB・OGが地元の企業で活躍していたり、親族や友人のつながりで就職先の情報を得られたりすることがあります。都会での就職活動では企業研究や面接対策に苦労することもありますが、地元ならリアルな情報を得やすいため、ミスマッチが起こりにくくなることもあります。

また、地域貢献をしたいと考えている人にとっては、Uターン就職は魅力的な選択肢です。地元の発展に貢献できる地域の課題解決に関われるといったやりがいを感じられることもあります。

ここまでUターン就職のメリットを見てきましたが、結局のところ向いている人と向いていない人がいます。次の章では、Uターン就職に向いている人・向いていない人の特徴を解説します。

地元で家族と暮らしたり、旧知の友人と過ごせる

Uターン就職の一番の魅力ともいえるのが、家族や友人と身近な距離で暮らせることです。

たとえば、大学進学を機に一人暮らしを始めた人なら、「実家での安心感」や「家族との時間のありがたさ」を改めて感じた人も多いはずです。地元で就職すれば、食事や買い物を家族と一緒にしたり、何か困った時にすぐに頼れる環境が手に入ります。

また、小・中・高校時代の友人と再会しやすいのも地元ならでは。休日に気軽に会える友人がいることは、社会人生活の中での大きな支えにもなります。

自然や生活環境の良さがある

都市部では満員電車や騒音、人混みにストレスを感じることもありますが、地方には自然に囲まれた穏やかな生活環境があります。

・通勤ラッシュがなく、通勤時間が短い
・空気や水がきれい
・広い家や自然の中でのびのびと暮らせる

特に将来的に子育てを見据えている人にとっては、落ち着いた環境で暮らせることは非常に魅力的でしょう。

都市部の競争的な環境より安定した働き方ができる

都市部の企業は競争が激しく、スピード感のある働き方が求められることが多いです。一方で、地方では長く安定して働くことを重視する企業も多く、落ち着いた働き方ができるという利点があります。

・定着率が高く、長く働ける企業が多い
・職場の人間関係が密で相談しやすい
・過度な転勤や深夜残業が少ない傾向

もちろん業界や企業によって異なりますが、「安定志向」で働きたい人にとっては、地方企業は良い選択肢になり得ます。

地元に貢献できる

Uターン就職を通じて、「自分が育った地域に恩返ししたい」という想いを実現できるのも、大きな魅力の一つです。

・地元の産業を支える仕事に就ける
・地域の活性化に関わる機会がある
・学生時代に得た知識やスキルを地元に活かせる

特に地方では若手人材の流出が課題となっているため、地元で働きたいという若者はとても歓迎される存在です。「地域の未来を支える担い手」としてやりがいのある仕事を見つけられるかもしれません。

【判断基準】Uターン就職に向いている人・向いていない人

Uターン就職にはメリットとデメリットの両方があるため、自分に合っているかどうかをしっかり考えることが重要です。ここでは、Uターン就職に向いている人と向いていない人の特徴を見ていきましょう。

向いている人の特徴

・安定志向で、長く同じ会社で働きたい人
地方の企業は、大手企業のように転職を前提としたキャリアプランではなく、長く働くことを前提としているケースが多いです。1つの会社で安定して働きたいと考えている人には向いています。

・家族とのつながりを大切にしたい人
実家が近いと安心両親のサポートができる環境がいいと考える人には、Uターン就職が適しています。特に、親の介護を考えている場合は、将来的にもメリットがあります。

・都会の生活より、のんびりとした暮らしを重視する人
地方は通勤ラッシュがなく、自然も多いため、ゆったりとした生活ができるのが魅力です。都会のスピード感が苦手な人には、地方の穏やかな環境が合っているかもしれません。

・地元の企業や地域に貢献したい人
地元の活性化に関わりたい地域の企業を支えたいと考えている人にとって、Uターン就職はやりがいのある選択肢になります。

・ワークライフバランスを重視したい人
仕事よりもプライベートを充実させたい趣味の時間をしっかり確保したいと思っている人には、地方の働き方が向いている可能性があります。

向いていない人の特徴

✖キャリアアップを重視する人
どんどんスキルを磨いて成長したい将来的にはマネジメント職に就きたいと考えている人には、地方の企業は物足りなく感じるかもしれません。都市部のほうが、成長のチャンスが多い傾向にあります。

✖都会の刺激的な環境が好きな人
新しいトレンドに触れたい最新の技術やビジネスの流れを知りたいと考えている人は、都会のほうが刺激を受けやすいです。地方では、最新の業界動向に触れる機会が限られることもあります。

✖給与・待遇を最優先に考えている人
地方は都会よりも給与水準が低いため、高収入を目指したい年収アップを重視したいと思っている人には向いていません。

✖人間関係のしがらみが苦手な人
地方ではコミュニティが狭いため、職場だけでなくプライベートでも知り合いが増えることがあります。適度な距離感を保ちたい人にとっては、窮屈に感じることがあるかもしれません。

ここまでの内容を踏まえると、Uターン就職が向いている人と向いていない人がはっきり分かれていることがわかります。では、Uターン就職を選ぶ場合に後悔しないためのコツはあるのでしょうか？次の章で詳しく解説していきます。

【後悔しないために】Uターン就職を成功させるコツ

Uターン就職にはメリットもデメリットもありますが、大切なのは事前の準備をしっかりすることです。なんとなく地元に戻ると、思っていた仕事がない給料が低くて生活が厳しいといったギャップに直面し、後悔する原因になります。ここでは、Uターン就職を成功させるためのコツを紹介します。

事前に地元の求人・企業情報をしっかりリサーチする

Uターン就職を考えるなら、まず地元の求人情報や企業の特徴を詳しく調べることが重要です。都会と違い、地方の求人は求人サイトにあまり掲載されていないこともあります。そのため、以下の方法で情報収集をするのがおすすめです。

• ・地方のハローワークや就職支援センターを活用する
• ・地元の合同企業説明会に参加する
• ・地方特化型の転職エージェントを利用する
• ・大学のキャリアセンターに相談する

特に、新卒向けの求人は時期が限られているため、応募したい企業があるのに募集が終わっていたということにならないよう、早めに動くことが大切です。

キャリアプランを長期的に考える

Uターン就職を決める前に、5年後・10年後に自分がどうなっていたいかを考えることも重要です。

例えば、
・安定した仕事を続けて、地元で暮らしたい→地元の企業に長く勤める前提で選ぶ
・数年働いたら、また都市部に戻る可能性がある→全国展開している企業や、転職しやすい業界を選ぶ

このように、自分のキャリアの方向性を明確にすることで、後悔しにくくなります。

また、将来的にスキルアップや転職の可能性を考えているなら、オンラインで学べるスキルを身につけたり、副業OKの企業を選び、収入の柱を増やすといった選択肢を考えるのもアリです。

OB・OG訪問やインターンでリアルな情報を得る

求人票や企業HPを見るだけでは、実際の職場環境や働き方はわかりません。事前にリアルな情報を得ることが、Uターン就職成功のカギになります。

おすすめの方法は、以下のようなものです。

• 大学のOB・OG訪問を活用する（地元企業に就職した先輩に話を聞く）
• インターンシップに参加し、職場の雰囲気を確かめる
• 地元の社会人交流イベントに参加する（企業の人事担当者と話せることも）

実際に働いている人の話を聞くことで、思っていたのと違った……というギャップを防ぐことができます。

ここまでのポイントを押さえておけば、Uターン就職での後悔を減らすことができます。しかし、実際にUターン就職をした人の中には、成功した人もいれば、失敗した人もいます。

【体験談】Uターン就職で失敗した人・成功した人の違い

実際にUターン就職をした人の中には、選んでよかった！と満足している人もいれば、こんなはずじゃなかった……と後悔している人もいます。ここでは、失敗した人と成功した人の具体的なケースを紹介し、それぞれの違いを分析していきます。

失敗した人のケース

①思っていた仕事がなかった
（23歳・男性・事務職）

関東の大学で情報系を専攻していたものの、都市部での生活が合わず地元に戻ることを決意。Uターン就職をしたが、希望していたITエンジニアの求人がほとんどなく、結局、事務職として働くことに。仕事内容に満足できず、キャリアの方向性を見失ったと後悔している。

▶失敗のポイント：

• 事前に地元の求人を調査していなかった
• なんとなく地元に帰りたいという理由で決断した

②給料が低すぎて生活が厳しい
（24歳・女性・営業職）

東京の大手企業から内定をもらっていたが、親の勧めもあり地元企業に就職。しかし、都会の企業と比べて初任給が5万円以上低く、昇給もほとんどない状況。生活はラクになると思っていたけれど、実際は貯金もできず、将来が不安と感じている。

▶失敗のポイント：

• 給与や待遇の違いを深く考えずに決断した
• 昇給制度や福利厚生について事前に調査していなかった

③地元の人間関係がストレスだった
（26歳・男性・メーカー勤務）

地元の安定企業に就職し、仕事自体には満足しているが、地元の狭い人間関係がストレスに。職場には親の知り合いや幼なじみが多く、仕事とプライベートの境界が曖昧になってしまうと感じている。

▶失敗のポイント：

• 地元のコミュニティの狭さが自分に合っているか考えなかった
• 仕事以外の生活面を軽視していた

成功した人のケース

①ライフスタイルに合っていた
（27歳・女性・医療系）

東京の大学に通っていたが、都会の喧騒になれることができず疲弊。Uターンして地元のクリニックに就職したところ、ストレスフリーで、趣味や家族との時間を大切にできるようになった。都会のような刺激はないけれど、ストレスが減って心に余裕ができたと満足している。

▶成功のポイント：

• 仕事だけでなく、ライフスタイルも考慮した
• 自分に合った働き方を優先した

②企業選びを慎重にした
（25歳・男性・メーカー技術職）

Uターン就職を考えたとき、すぐに決めるのではなく、地元企業の研究開発職の求人を1年かけてリサーチ。待遇や昇給制度、将来のキャリアパスをしっかり確認したうえで応募し、転職に成功。妥協せずに探したおかげで、都会と同じくらいの待遇で働けていると満足している。

▶成功のポイント：

• すぐに決断せず、時間をかけて企業選びをした
• 求人情報だけでなく、長期的なキャリアプランも考えた

③地元のつながりを活かして就職
（30歳・男性・営業職）

Uターン就職を考えたとき、大学のOB・OGや地元の知人に相談。すると、知人経由で地方の優良企業を紹介され、一般の求人サイトには載っていない仕事を見つけることができた。自分だけで探していたら、この企業には出会えなかったかもしれないと話す。

▶成功のポイント：

• 地元の人脈をフル活用して仕事を探した
• 求人サイトだけに頼らず、幅広く情報を集めた

ここまで見てきたように、Uターン就職で失敗する人と成功する人の違いは、事前のリサーチ企業選びの慎重さライフスタイルとの相性にあります。では、最終的にUターン就職は本当にやめとけなのでしょうか？次の章で結論をまとめます。

自分に合っているかどうかで決めよう

ここまで、Uターン就職のデメリットやメリット、向いている人と向いていない人の特徴、成功・失敗の事例を見てきました。では、結局のところUターン就職はやめとけと言えるのでしょうか？

重要なのは自分に合った選択をすること

Uターン就職が向いている人もいれば、都会で働いたほうが合っている人もいます。重要なのは、自分がどんなキャリアを築きたいのか、どんな生活を送りたいのかを明確にすることです。

どちらが正解というわけではなく、大事なのは自分に合った選択をすること。しっかりリサーチし、納得できる決断をすることで、後悔のない就職を実現できるでしょう。

Uターン就職を考えているなら、まずは情報収集から始めてみてください。焦らず、自分にとってベストな選択を見つけましょう。