新卒が辞めた方がいい業界とは？イメージと現実のギャップに注意して業界選びをしよう

「新卒が辞めた方がいい業界」と聞くと、少し不安になってしまう方も多いのではないでしょうか。ネットやSNSでは、「この業界はブラックだ」「ここはやめておけ」といった声が目立ちます。しかし、業界には向き・不向きがあるだけで、誰にとっても絶対に避けるべき業界というのは本来存在しません。

とはいえ、就活生の中には「思っていたのと違った」と感じて、入社後すぐに退職してしまう人が一定数いるのも事実です。特に、見た目の華やかさや理想的なイメージに惹かれて業界を選んでしまうと、実際の労働環境とのギャップに驚き、後悔してしまうケースもあります。

この記事では、「本当に新卒が辞めた方がいい業界はあるのか？」という問いに正面から向き合いながら、離職率が高い業界の特徴や、業界選びの際に注意すべきポイントを詳しく解説していきます。就活の軸を定めるためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。

新卒が辞めた方がいい業界は存在するのか？

本来は「向き・不向き」で判断するべき

どんな業界にも、それぞれの役割ややりがいがあります。たとえ一般的に「きつそう」と言われる業界でも、その仕事に誇りを持って取り組んでいる人はたくさんいますし、自分に合っていれば長く働き続けることも可能です。ですから、「この業界は絶対にやめた方がいい」と断定するのは本質的ではありません。

業界選びで大切なのは、自分の性格や価値観、ライフスタイルとの相性です。体力的に厳しい仕事でも「体を動かすのが好き」「人と接するのが楽しい」と感じられる人にとっては苦にならないこともありますし、逆にデスクワークが多い仕事でも「一日中パソコンの前にいるのが苦痛」という人には向かないかもしれません。

また、「やりたいこと」「叶えたい将来像」が明確になっている人ほど、業界とのミスマッチが起こりにくくなります。向き・不向きをしっかり考えることが、自分にとっての「辞めた方がいい業界」を避ける第一歩になるのです。

なぜ特定の業界に早期離職者が集中しやすいのか

現実には、ある特定の業界に新卒の早期離職が集中している傾向があります。その理由の一つが、「業界のイメージ」と「実際の働き方」の乖離です。たとえば、華やかな広告業界やキラキラした飲食業界に憧れて入社したものの、長時間労働や厳しいノルマに苦しみ、短期間で辞めてしまうというパターンは珍しくありません。

もう一つの要因として挙げられるのが、業界自体の構造的な問題です。たとえば人手不足が慢性化している業界では、どうしても若手社員への負荷が大きくなってしまいがちです。仕事量が多く、教育やフォローの体制も整っていないため、孤独感や達成感のなさから辞めてしまうケースも多いのです。

こうした離職の多い業界には、共通する背景があります。それを見極めることで、「自分が納得して働ける職場」を選びやすくなるはずです。

やりたいことがあればブラックな環境でも挑戦する価値はある

一方で、「ブラック」と言われるような業界でも、自分のやりたいことが明確で、その仕事に強い意志と情熱を持っているのであれば、あえて飛び込むという選択肢もあり得ます。

たとえば、飲食業界で自分の店を持ちたいという夢がある人にとって、現場での経験は何よりも貴重ですし、厳しい環境の中での努力が将来の糧になります。大切なのは、「覚悟を持って挑戦する」という姿勢です。

もちろん、心や体を壊してしまっては意味がありませんが、自分の人生を豊かにするための挑戦であれば、一時的に厳しい環境に身を置くことも選択肢の一つになります。だからこそ、「業界を選ぶ」＝「人生を選ぶ」という意識を持つことが大切なのです。

離職率が高い業界ランキング

「自分には向いていると思ったのに、働いてみたら全然違った」。そんな声が多く聞かれる業界には、共通して“イメージと現実のギャップ”が存在します。ここでは、実際に離職率が高いとされる業界を10位まで紹介し、それぞれのギャップについて詳しく解説していきます。

第1位：飲食業界

飲食業界は「おしゃれなカフェで働きたい」「人と接するのが好き」という理由で人気を集めがちです。しかし、実態は朝から晩まで立ち仕事で体力を消耗し、さらに休日も少なく、シフトによっては生活リズムが乱れがちになります。

また、新卒で入った場合でも責任あるポジションを任されることが多く、プレッシャーを感じる人も少なくありません。お客様との接点が多い反面、クレーム対応や突発的なトラブルも多く、精神的に消耗してしまうという声もあります。

憧れや楽しそうという気持ちだけで選んでしまうと、現実とのギャップに苦しむ可能性が高い業界です。

第2位：介護・福祉業界

介護・福祉業界は「人の役に立ちたい」「ありがとうと言われる仕事がしたい」という思いから志望する人が多い一方、実際には肉体的・精神的な負荷が非常に大きい業界です。

シフト制や夜勤が当たり前で、体調管理が難しいことに加え、給与面が見合っていないと感じる人も多くいます。また、感情労働とも言われるこの業界では、利用者や家族との人間関係に悩むケースも少なくありません。

仕事へのやりがいはあっても、その過酷さに耐えきれず、早期に離職する人が多いのが現実です。

第3位：小売業界

小売業界も「接客が好き」「人と話すのが得意」といった理由で人気のある業界ですが、実際には年末年始やお盆といった一般の人が休む時期ほど忙しくなる業界です。

また、シフト勤務で土日休みが取れない、残業が多くなりがちといった点もライフスタイルとのミスマッチを生みやすくしています。さらに、店舗ごとの人員体制に左右されやすく、人手不足の際には過重労働になりがちです。

やりがいや楽しさはあっても、長く続けるには体力と覚悟が必要な業界といえます。

第4位：不動産業界

不動産業界は、営業成績がダイレクトに評価に反映される成果主義の文化が根付いています。数字を出せば年収1000万円も夢ではないという反面、成果が出ないと厳しい指導や詰めが入ることもあります。

特に新卒で営業職に配属される場合、物件知識や接客スキルを学びながら成果を求められるため、プレッシャーの大きさに耐えきれずに退職する人も少なくありません。

営業が得意な人やメンタルが強い人には向いていますが、「安定して働きたい」と考えている人には厳しい業界です。

第5位：IT業界

IT業界と聞くと「在宅勤務できそう」「手に職がつく」とポジティブなイメージを持つ人も多いですが、実際には職種や企業のビジネスモデルによって大きく働き方が異なります。

特にSES（客先常駐型）や受託開発を行っている企業では、自分の配属先が決まらないと待機状態になることもあり、不安定さを感じやすいです。また、スキルが未熟なまま現場に入れられることで、ストレスを感じる人もいます。

エンジニア職に興味がある人は、事前にどのような開発環境で働けるのか、どんなキャリアが積めるのかをしっかり確認することが重要です。

第6位：広告・マスコミ業界

広告・マスコミ業界は、テレビや雑誌、ネット広告など「人の心を動かす仕事」として憧れる人も多く、就活市場でも根強い人気があります。しかしその一方で、締め切りに追われる毎日やクライアント対応のプレッシャー、長時間労働など、労働環境の厳しさが目立つ業界でもあります。

特に若手は雑務や深夜対応を任されることが多く、結果として心身に大きな負担がかかってしまうケースが多発しています。「やりがい搾取」という言葉が使われることもあるように、仕事に対する熱意がないと継続が難しい業界と言えるでしょう。

憧れだけで飛び込むと、そのギャップに後悔する可能性が高い分野でもあります。

第7位：金融・保険業界

金融・保険業界は安定していて高収入のイメージがありますが、数字に対する厳しいノルマとプレッシャー、クライアントとの折衝、組織内での競争が非常に激しい業界です。

とくに保険営業は新規顧客の開拓を求められ、「知人に売らなければならない」「断られるのがつらい」といった声も少なくありません。また、職場内での評価が数字で明確に判断されるため、自分に向いていないと感じたときのストレスも大きくなりがちです。

高収入を目指せる一方で、精神的なタフさが求められる仕事であることを理解しておく必要があります。

第8位：旅行・宿泊業界

「旅行が好きだから」「お客様の思い出をサポートしたい」という理由で志望する人が多い旅行・宿泊業界ですが、土日祝日や連休に働くことが多く、自分のプライベートの時間を確保するのが難しいという声がよく聞かれます。

また、繁忙期と閑散期の差が激しく、勤務時間や収入の波も大きくなりやすいため、生活リズムが安定しづらい業界でもあります。

観光地やホテルでの仕事は魅力的に映るかもしれませんが、その裏側には過酷な勤務スケジュールがあることを忘れてはいけません。

第9位：建設・土木業界

建設・土木業界は現場仕事が中心となるため、体力が必要で、夏は猛暑・冬は極寒という厳しい環境で働かなければならないことが多いです。また、慢性的な人手不足もあり、一人あたりの業務負担が大きくなりがちな業界です。

さらに、技術職であっても経験が重視される風土があり、新卒で入った際に丁寧に育ててもらえる環境でない場合、やる気があっても成長できずに退職してしまうケースもあります。

やりがいのある仕事ではありますが、向き・不向きがはっきりと分かれる業界とも言えるでしょう。

第10位：学習塾・教育業界

子どもが好きで、教育に関わる仕事がしたいと考える人にとって、学習塾や教育業界は魅力的な選択肢です。しかし、実際には授業だけでなく、生徒や保護者対応、イベント準備や事務作業など、裏方の業務が非常に多く、勤務時間が長くなる傾向があります。

さらに、授業は夕方以降が中心となるため、生活時間が不規則になりがちです。繁忙期には休みが取れず、体力的にも厳しいと感じる人も多いです。

教育への熱意がある人にはやりがいのある環境ですが、それだけで続けるのは難しいと感じる場合もあるため、業界研究をしっかり行うことが重要です。

実際に後悔しやすい業界の特徴とは？

「この業界、入らなきゃよかったかも…」という後悔は、入社してから初めて見えてくる職場環境や業界特有の事情によって生まれることが多いです。ここでは、新卒が入社後にギャップを感じやすく、結果的に後悔する傾向がある業界の共通点について詳しく見ていきましょう。

労働時間・休日の少なさと給料のバランス

就職前は「忙しくても頑張る」と思っていても、いざ働き始めてみると、連日の残業や休日出勤が当たり前という状況に心身が追いつかなくなることがあります。特にサービス業やインフラ関連の業界では、土日祝日が出勤日になることも多く、友人や家族との時間を確保できないという声が目立ちます。

さらに、働いた分だけしっかりと報酬が支払われていれば納得感が得られるかもしれませんが、実際には「頑張っても給与が安い」「昇給が遅い」といった状況も見られます。労働時間と給料のバランスが取れていないと、満足度は低下し、離職の引き金になりがちです。

研修や教育制度が整っていない

新卒にとって、入社後の研修や教育制度は非常に重要です。しかし、慢性的な人手不足の業界や中小企業の一部では、「教える余裕がない」「OJTと称していきなり現場に放り込まれる」というケースも見受けられます。

知識も経験もない状態で実務を任されると、自信をなくしたり、失敗が続いて萎縮してしまったりすることがあります。適切なフォローや指導が受けられない環境では、成長機会が得られず、「自分には向いていない」と早々に判断してしまう人も多いのです。

また、メンター制度がない、先輩社員が忙しくて相談しにくいなど、孤立しやすい環境も後悔の原因となります。

成果主義・ノルマ重視の文化

営業職を中心とした一部の業界では、「数字を出してナンボ」という文化が色濃く残っています。頑張っても結果が出なければ評価されない、というプレッシャーの中で、精神的なストレスを抱える新卒社員は少なくありません。

特に、保険業界や不動産業界では、個人ノルマが課されることも多く、数字に対して苦手意識がある人や、成果が出るまでに時間がかかるタイプの人にとっては非常につらい環境です。

また、上司や先輩との関係性も「結果重視」になりがちで、人間関係のサポートが得られにくい点も後悔の要因となります。

若手に裁量がない・意見を言えない風土

一見すると安定した大企業や老舗企業でも、内部の文化や体制によっては若手が活躍しづらいケースがあります。たとえば、年功序列が強く残っている企業では、「若手のうちは雑務ばかりで企画には参加できない」「上司の指示をただこなすだけ」といった状況に陥ることがあります。

また、「意見を言っても聞いてもらえない」「変化を受け入れない風土がある」といった閉塞感のある環境では、やりがいや成長実感を得にくく、早期退職につながることもあります。

特に、自分の意見を積極的に発信したいタイプの人には、こうした保守的な風土は大きなストレスになるかもしれません。

ブラックではないけど「新卒には合いにくい」業界もある

世の中には、必ずしもブラックではないけれど、新卒で入るにはハードルが高かったり、成長の実感を得にくかったりする業界も存在します。ここでは、そのような「環境としては問題ないけれど、新卒には少し合いにくい」とされる業界の特徴を解説していきます。

高い専門性を求められるため適応が難しい

医療・研究・コンサルティングなど、高度な専門性が求められる業界では、入社時点からある程度の知識やスキルを持っていることが期待されるケースがあります。もちろん研修制度が整っている企業もありますが、「分からないことは自分で調べて成長していくのが当たり前」というスタンスの企業では、受け身な姿勢ではなかなか活躍できません。

新卒で右も左も分からない状態のまま放り込まれると、「自分は何もできない」と自信を失いがちです。努力次第で大きく伸びる可能性がある一方、自走力や自己学習力がないと置いていかれる感覚になる業界でもあります。

このような環境に合うかどうかを見極めるには、入社前のインターンシップやOB訪問が特に重要です。

仕事のやりがいが成果に直結しづらい

例えば、行政関係やインフラ関連の業界などでは、仕事の成果がすぐに目に見えづらく、モチベーションを保ちにくいと感じることがあります。もちろん、社会全体を支える非常に意義のある仕事ではありますが、「自分の仕事がどんな影響を与えているのか実感しづらい」と感じる人も少なくありません。

特に成果を数字や反応で実感したいタイプの人にとっては、こうした業界では「働いていても評価されているのか分からない」「やりがいを感じにくい」と感じてしまうことがあります。

やりがいを仕事に求める人ほど、成果の可視化が難しい業界ではギャップを感じやすくなるため、事前に仕事内容をよく理解しておくことが大切です。

キャリア初期にスキルが積みにくい職種

一部の事務職や管理系職種の中には、ルーチンワークが中心で、スキルアップの実感を得にくいものもあります。特に大企業では分業が進んでおり、新人のうちは「社内の決まったフローをひたすら回すだけ」といった業務に限定されることがあります。

もちろん、長い目で見ればそうした経験も役に立つ場面はありますが、「もっと挑戦したい」「新しいことを学びたい」と意欲的な新卒にとっては、物足りなさを感じてしまう可能性があります。

結果として、「このままここにいて成長できるのだろうか」という不安に駆られ、転職を考え始める人もいます。自分の成長スピードや理想とするキャリアに合った業務内容であるかどうかを見極めることが重要です。

イメージに流されないための業界選びのコツ

就活中は、企業のパンフレットや説明会、SNSなどからさまざまな情報を得ることができます。しかし、そうした情報には「魅力的に見せる工夫」が多く含まれており、実態とは異なるイメージを持ってしまうことも少なくありません。

そこで、自分に合った業界を選ぶためには、表面的な情報に惑わされず、実際の働き方や環境を知ることが何より大切です。ここでは、イメージに流されず本質を見抜くための4つの具体的な方法を紹介します。

OBOG訪問でリアルな話を聞いてみる

最も信頼できる情報源の一つが、実際にその業界で働いている先輩たちの声です。大学のキャリアセンターを通じてOBOGを紹介してもらい、実際の仕事内容や職場の雰囲気、やりがいやつらさなど、リアルな話を聞いてみることをおすすめします。

特に「入社前に想像していたことと、実際に入ってからのギャップ」について聞くことで、自分がその環境に適応できそうかを具体的にイメージしやすくなります。

OBOG訪問は、選考対策としても評価されやすい行動のひとつなので、一石二鳥のメリットがあります。

SNSや口コミサイトで「入社後の声」を調べる

企業の採用サイトでは分からないことも、就職・転職系の口コミサイトやSNSでは赤裸々に語られていることがあります。たとえば「OpenWork」や「転職会議」といった口コミサイトでは、実際に働いている（あるいは働いていた）社員の本音が掲載されており、給与や残業時間、職場の雰囲気といった内部情報が手に入ります。

SNSでも、就活アカウントや現役社員の投稿をフォローすることで、リアルな日常や社風が見えてきます。ただし、すべての情報が正しいとは限らないため、複数の情報源を組み合わせて総合的に判断する姿勢が必要です。

離職率や平均残業時間の公開データをチェック

企業によっては、採用ページや「健康経営優良法人」などの公的認証の取得状況などを通じて、離職率や残業時間、有給休暇の取得率といった情報を公開している場合があります。

また、厚生労働省が提供する「職業情報提供サイト（job tag）」では、業界ごとの平均年収や労働時間などのデータがまとまっており、業界比較をするのに便利です。

こうした客観的な数値を確認することで、「実はブラックだった」という事態を未然に防ぐことができます。

インターンで体験して確かめるのが最も確実

最も確実な方法は、実際に業界を体験してみることです。1日限りの短期インターンでも、社員の雰囲気や業務内容、働くスピード感を肌で感じることができますし、長期インターンであれば、より実務に近い環境で自分の適性を確かめられます。

説明を聞くだけでは分からない“現場のリアル”を体感することで、「思っていたよりも合っている」「逆に自分には向いていないかも」といった判断がしやすくなります。

就活の準備段階から複数の業界に触れておくことで、より納得のいく業界選びができるようになります。

万が一ミスマッチだった場合の考え方と対処法

どれだけ丁寧に業界研究や企業選びをしても、実際に働いてみて「思っていたのと違う」「この環境では長く続けられない」と感じることはあります。そんなときに重要なのは、「失敗した」と落ち込むのではなく、前向きに次のステップを考えることです。

ここでは、ミスマッチが起きた際の考え方と具体的な対処法について解説していきます。

「辞める＝失敗」ではない。第二新卒の活用も視野に

社会人経験が浅い段階での転職は、決して「失敗」ではありません。むしろ、自分に合わない環境に長くとどまってしまうことのほうが、将来的なキャリアの妨げになる可能性があります。

現在では、「第二新卒」という枠組みで20代前半の若手を積極的に採用している企業も増えており、1社目での経験が数ヶ月〜2年程度であっても、ポテンシャル採用として歓迎されるケースも多くあります。

「一度決めたからには辞めるのはダメ」と思い込まず、自分がどう働きたいかを再確認したうえで、柔軟に方向転換することも大切です。

退職理由の伝え方はポジティブさが鍵

転職活動において避けられないのが「なぜ辞めたのか？」という質問です。このとき、単にネガティブな事実を並べるのではなく、「なぜその環境が自分には合わなかったのか」「どんな働き方をしたいと思っているのか」といった、自分なりの価値観や考えを伝えることが大切です。

たとえば、「長時間労働がつらかった」というだけでなく、「より長期的に成果を出すためには、メリハリある働き方が必要だと感じた」など、前向きな学びにつなげて話すことで、誠実さや成長意欲が伝わります。

企業側も、ミスマッチの理由をきちんと説明できる人には、「自己理解が深まっている」とポジティブに評価する傾向があります。

転職エージェントやキャリア相談の活用もおすすめ

自分一人でキャリアの方向性を考えるのが難しいと感じたときは、転職エージェントや大学のキャリアセンターなど、外部の専門家に相談するのも良い方法です。

転職エージェントは、第二新卒に特化した求人を多数保有している場合があり、面接対策や職務経歴書の作成もサポートしてくれます。また、自分では気づかなかった適性や志向を客観的に見てくれる存在でもあります。

「辞めたらどうしよう」「次は失敗したくない」と不安を感じている人こそ、プロの手を借りて冷静に次の一歩を考えることをおすすめします。

長く働きやすい業界って？おすすめ業界の特徴

「どの業界がブラックか」を知ることと同じくらい大切なのが、「どんな業界が長く働きやすいか」を知ることです。人それぞれ向き・不向きはありますが、ここでは一般的に“長く働きやすい”とされる業界や企業に共通する特徴について紹介します。

新卒として働き始める環境は、その後のキャリアに大きな影響を与えるため、慎重に選ぶ価値があります。

ワークライフバランスを重視する業界

働き方改革の影響もあり、近年は「働きやすさ」を重視する企業が増えています。中でも、IT企業の一部や製造業、BtoB（企業向けビジネス）中心の業界では、土日休み・定時退社を推奨している企業が多く見られます。

特にSIer（システムインテグレーター）やインフラ系のIT企業では、安定したプロジェクト管理がなされており、働く時間や環境が整っていることが多いです。

自分の時間を大切にしながら長く働きたいと考える人にとっては、こうした業界は非常に魅力的です。

教育制度やキャリアパスが整っている企業

「入ってから成長できるかどうか」は、働きやすさと同じくらい重要です。新人研修が充実している企業や、明確なキャリアパスが用意されている企業では、安心して働き始めることができます。

とくに金融・インフラ・製造業などの大手企業では、数ヶ月にわたる導入研修や、職種別の専門研修が整備されているところが多く、「自分にはまだスキルがない」と感じる新卒でもしっかり育ててもらえる環境があります。

成長意欲がある人や、長くキャリアを積んでいきたいと考える人にはぴったりの特徴です。

社風が穏やかで心理的安全性が高い職場

意外と見落とされがちですが、「どんな人と働くか」「どんな雰囲気の中で働けるか」は、長く働き続けられるかどうかを大きく左右します。社風が穏やかで、上司や先輩に相談しやすい環境では、新人でものびのびと自分らしく働くことができます。

「意見を言える雰囲気があるか」「上司との距離感はどうか」など、説明会やインターン中に感じた雰囲気をしっかり覚えておくことも大切です。

心理的なストレスが少ない職場は、長期的に見て非常に大きなメリットになります。

見落とされがちな「中堅BtoB企業」もねらい目

就活では大手や有名企業に目が向きがちですが、実は“隠れホワイト企業”とも言えるのが、知名度は高くなくても堅実な経営をしているBtoB企業です。こうした企業は安定した取引先を持ち、社員を大切に育てる文化があることが多いのが特徴です。

また、人気企業ほど倍率が高くないため、地道に情報収集していれば良い企業に巡り合える可能性も高まります。合同説明会などで積極的に話を聞いてみることで、視野を広げられるでしょう。

まとめ

「新卒が辞めた方がいい業界」と一括りに言うことはできませんが、確かに“イメージと現実のギャップ”に苦しみ、早期に退職してしまう人が多い業界は存在します。飲食、介護、小売、不動産など、労働環境や成果主義、人手不足といった構造的な問題がある業界では、事前のリサーチが特に重要になります。

しかし大切なのは、「この業界だからダメ」と決めつけることではなく、「自分にとって合うかどうか」を見極める姿勢です。どんな業界でも、やりがいを持って働いている人はいますし、逆にどれだけホワイトな環境でも自分に合っていなければ続けるのは難しいものです。

だからこそ、OBOG訪問やインターン、口コミのチェックなど、実態に触れるためのアクションを惜しまないことが重要です。万が一ミスマッチがあったとしても、それはキャリアにおける貴重な経験であり、転職や第二新卒としての再スタートも十分可能です。

焦って「なんとなく」で業界を決めるのではなく、自分の価値観・将来のビジョン・働き方の希望に向き合いながら、後悔のない選択をしていきましょう。業界選びは、人生を左右する大きな分岐点。だからこそ、丁寧に、そして前向きに選んでいってください。