【27卒】筆記試験完全ガイド｜種類・出題内容・効果的な対策方法

就活において筆記試験は、多くの企業が選考の一環として実施する重要なステップです。基礎学力を測るものから、性格や適性を評価するものまで、その種類は多岐にわたります。しかし、「筆記試験はどんな内容が出るの？」「短期間で効率的に対策する方法は？」と不安に感じる就活生も多いでしょう。

本記事では、就活で出題される筆記試験の種類や出題内容、企業ごとの特徴に加え、効果的な対策方法を徹底解説します。これを読めば、自信を持って筆記試験に臨めるようになるでしょう。

就活の筆記試験とは？基礎知識を確認しよう

筆記試験は、企業が指定する会場で紙とペンを使って受験する形式です。試験会場では周囲に他の受験者がいるため、独特の緊張感があり、そうした環境下でどれだけ実力を発揮できるかも見られています。また、解答用紙に直接記述する形式のため、字の丁寧さや書き方の工夫なども結果に影響することがあります。

Webテストとの違い

就活で実施される試験にはWeb上で受験するWebテストもあります。

Webテストはパソコンを使って自宅などから受験する形式です。場所や時間を選ばずに受けられるため、柔軟な対応が可能ですが、その分、自己管理能力が問われます。周囲の誘惑を排除し、集中できる環境を整える必要があります。

筆記試験と同様に、時間配分や問題の読解スピードが重要であり、事前の準備が結果を大きく左右します。受験形式に応じた対策を立てておくことが、合格への近道です。

企業が筆記試験を実施する理由

企業が筆記試験を実施する理由は、応募者の基礎的な能力や職務適性を客観的に把握するためです。履歴書や面接だけでは分からない「地頭の良さ」や「論理的な思考力」、さらには性格的な傾向まで、多面的に評価するための手段として活用されています。

たとえば、論理的な文章を読解する力や、素早く正確に計算する力は、どの職種でも基礎となるスキルです。また、性格検査ではストレス耐性や協調性、責任感など、業務に適応できるかどうかの指標を得ることができます。

こうした情報をもとに、企業は自社に合う人材かどうかを見極め、将来活躍できるかどうかの見通しを立てています。つまり筆記試験は、学生にとっては「学力テスト」以上の意味を持つ重要な評価軸なのです。

筆記試験の実施タイミング（選考フロー）

筆記試験が実施されるタイミングは企業によってさまざまですが、一般的にはエントリーシート提出後の書類選考通過後に行われることが多いです。早い段階で足切りを行うために、筆記試験が一次選考の一部として設定されているケースもあります。

一方で、グループディスカッションや集団面接を先に行い、ある程度絞り込まれた段階で筆記試験を実施する企業も存在します。これは、人数が少なくなってからじっくり能力を評価したいという狙いがあるためです。

また、公務員試験や一部の大手企業では、採用フローの初期段階で統一された試験（SPIやGABなど）を課すことも多く、こうした場合は準備のタイミングを見誤らないことが大切です。選考全体の流れを把握し、どこに筆記試験が位置づけられているかを確認しておくと、スムーズに対策が進められるでしょう。

就活で実施される筆記試験の種類

筆記試験には複数のタイプがあり、それぞれ目的や内容が異なります。志望する企業や業界によって実施される試験の傾向も変わるため、どのような種類があるのかを事前に知っておくことが重要です。

基礎学力テスト（国語・数学・英語）

基礎学力テストは、大学入試や高校の学力試験に近い形式で、主に国語・数学・英語の3科目から構成されています。国語では文章の読解力や語彙力、文法の正確さが問われ、数学では計算力や論理的思考力が試されます。英語は読解と文法が中心ですが、企業によってはリスニングや英作文が加わることもあります。

これらは単に知識量を見るだけでなく、基本的な理解力や応用力も評価されます。たとえば、文章の要点を正確につかむ力や、複雑な数式を効率よく処理する力は、実務においても役立つスキルであり、企業側が重視するポイントとなります。

一般常識問題（時事問題・ビジネスマナー）

一般常識問題では、社会人としての基本的な知識が問われます。時事問題では最近のニュースや国際情勢など、世の中の動きにどれだけ敏感であるかを見られます。特に政治・経済・社会問題は出題されやすいため、日頃からニュースをチェックする習慣をつけておくとよいでしょう。

また、ビジネスマナーに関する問題も多く、敬語の使い方や電話対応の仕方、報告・連絡・相談のルールなど、社会人としての基本動作が身についているかを確認されます。これらは学力ではなく実践的な知識として評価されるため、学生時代のアルバイトやインターンでの経験が活かされる場面です。

小論文・作文（テーマ例・書き方のコツ）

小論文や作文は、応募者の思考の深さや表現力、論理構成力を評価するための試験です。テーマは企業や業界によって異なりますが、「あなたの考える理想の社会人像」や「これからの社会課題にどう向き合うべきか」といった抽象的なものが多い傾向にあります。

文章は導入・本論・結論の三部構成で書くのが基本であり、主張を明確にしつつ具体例を用いて説得力を高めることが求められます。また、論点がずれないよう注意深く論理を展開し、制限時間内に指定の文字数を満たす練習も必要です。

適性検査（性格検査・能力検査）

適性検査は大きく分けて性格検査と能力検査の2つに分類されます。性格検査では、自己認識や価値観、行動傾向などを問う設問に答えることで、企業との相性やチームへの適応力を評価されます。たとえば「チームでの作業が得意ですか？」といった問いに、正直に答えることで自分の特性が見えてきます。

一方、能力検査では、言語・非言語（数的処理や論理的思考）に関する問題を中心に、判断力や集中力などを数値化して評価されます。SPIや玉手箱、GABといった試験が代表的で、受験企業に応じた対策が欠かせません。

外国語試験（英語・中国語・他言語）

外資系企業や海外展開を行う企業では、英語や中国語など外国語の試験が課されることがあります。英語に関してはTOEICや英検のスコア提出が求められる場合や、企業独自のリーディング・リスニングテストが実施されることもあります。

中国語やその他の言語についても、業務上の必要性に応じて試験が導入されることがあり、語学力は職種によって大きなアドバンテージとなります。特に通訳・翻訳業務、海外営業、貿易関連の職種を志望する場合は、語学力の証明が選考で大きな武器になるでしょう。

筆記試験で出題される問題の例題

筆記試験では、出題形式に応じてさまざまな問題が登場します。以下では、代表的な分野ごとにどのような問題が出題されるかを具体的に紹介し、対策のイメージをつかんでいただけるように解説します。

言語分野：国語・読解問題の例

言語分野では、主に読解力や語彙力を測る問題が出題されます。たとえば長文を読み、その主張や論理構造を把握する問題や、適切な語句の選択肢を選ぶ語彙問題などがあります。

長文読解では、文章全体の流れをつかむ力が必要です。段落ごとの要点を押さえながら読み進め、設問に対して的確な答えを導き出す読解力が求められます。語彙問題では、日常でよく使われる四字熟語や慣用句、類義語・対義語などを問われることが多く、事前の語彙力強化がカギとなります。

非言語分野：計算問題・図表読み取りの例

非言語分野では、数的処理や論理的思考力が問われる問題が中心となります。計算問題では、単純な四則演算だけでなく、割合や速さ、仕事算といった応用的な内容も出題されます。

また、図や表を読み取り、それに基づいて答えを導く「図表の読み取り」問題も重要です。複数の情報を短時間で処理し、正しい選択肢を選ぶ判断力が必要とされるため、練習を重ねて慣れておくことが重要です。

例題

ある商品Aは50円で仕入れられ、30%の利益を上乗せして販売されます。販売価格は何円ですか？

• 答え：65円

一般常識：時事問題・ビジネスマナーの例

一般常識の問題では、新聞やニュースで日常的に取り上げられている出来事に関する設問が多く見られます。政治や経済、国際情勢などの基本的な知識に加え、最近のトピックにも注目しておく必要があります。

また、ビジネスマナーでは、正しい敬語の使い方や名刺交換の作法、メール文の書き方など、社会人としての振る舞いが問われます。こうした内容は、知識として知っておくことが前提であり、実際の現場で役立つスキルとして評価されます。

例題

時事問題：最近のニュースや社会情勢について
例題：2025年に日本で開催される国際会議はどれですか？

• ①G20サミット ②APEC首脳会議 ③WTO総会
  

ビジネスマナー：敬語の使い方、電話対応、メールの書き方
例題：以下のビジネスメールの文中で正しい敬語表現を選びなさい。

• ①お世話になっております ②お世話していただいております ③お世話されております

小論文：テーマ例と書き方のポイント

小論文では、テーマに対して自分の意見を論理的に展開する力が試されます。たとえば「働くことの意味」や「AIと人間の共存」といった社会性のあるテーマが出題され、限られた文字数の中で説得力のある主張を展開する必要があります。

書き方の基本は、導入・本論・結論の三部構成です。導入では問題提起を行い、本論でその根拠や具体例を述べ、最後に結論として自分の意見をまとめます。日頃から時事問題や社会課題に関心を持ち、自分なりの考えを言語化する習慣を持つことが、小論文対策には不可欠です。

例題

• テーマ例：「リーダーシップとは何か」「働く意味を考える」「AIと人間の共存」
  
• 書き方のポイント：三部構成（導入・本論・結論）でまとめ、具体例を示して説得力を持たせます。
  

例文（テーマ：働く意味を考える）
「現代社会において、働くことの意味は多様化しています。かつては生計を立てるためが主目的でしたが、近年では自己実現や社会貢献の手段としての働き方も増えています。本稿では、働く意味を3つの視点から考察し、それぞれのメリットとデメリットを示します。」

英語試験：リーディング・リスニング問題例

英語の筆記試験では、リーディング（読解）とリスニング（聞き取り）がよく出題されます。リーディングでは、英語の長文を読み、その内容に関する設問に答える形式が一般的です。文章の内容を正確に把握し、設問との関係を整理する力が求められます。

リスニングでは、会話やナレーションを聞いた上で、聞き取った内容について設問に答えます。聞きながら要点を把握し、記憶に留めておく集中力が問われるため、リスニング教材での訓練が重要です。TOEICや英検の形式に慣れておくことも効果的です。

筆記試験の難易度（職種・企業ごとの特徴）

総合職・一般職での筆記試験の違い

総合職と一般職では、筆記試験の出題範囲や難易度に明確な違いが見られます。総合職では、高度な論理的思考力や問題解決力が求められるため、推論問題や図表の読み取り、英語の長文読解といった応用的な問題が出題される傾向があります。一方、一般職では基礎的な学力や常識、ビジネスマナーを確認する内容が中心で、難易度も比較的易しめです。

この違いは、職務内容の違いに由来します。総合職は将来的に管理職や企画・戦略部門への登用が見込まれるため、複雑な課題に対応できる能力を重視されます。一方、一般職では実務を正確に遂行する力や周囲との協調性が評価されるため、過度に難解な問題よりも基礎力と常識が問われる試験内容になっています。

業界別の出題傾向（金融・メーカー・IT）

業界ごとに筆記試験の出題傾向には特徴があります。たとえば金融業界では、数的処理能力や計算問題の比重が高く、速さと正確さが重視されます。これは業務において数値を扱う機会が多いためです。また、金融用語に関する問題や経済知識を問う内容も含まれることがあります。

メーカー業界では、理系職種であれば物理や化学といった理系科目が、文系職種であっても図表の読み取りや論理的思考を問う問題が中心となります。ものづくりの現場では論理性や現状把握力が重要とされるため、そうした力を測る出題が多くなっています。

IT業界では、論理的思考力やアルゴリズム的な考え方を重視する問題が出題されることが多く、プログラミングの基礎知識が問われる場合もあります。英語の読解力も評価対象となるケースがあるため、業界に特化した対策が必要です。

公務員試験の筆記試験との違い

民間企業の筆記試験と公務員試験とでは、出題の目的と内容に明確な違いがあります。公務員試験は、国家や地方自治体が実施するもので、試験内容が統一されており、法令や時事、数的処理、文章理解、専門科目など多岐にわたるのが特徴です。

また、公務員試験は合格ラインが明確に設定されており、競争倍率も高いため、非常に高い精度の対策が求められます。筆記試験だけでなく、面接や論文なども含めた総合的な評価が行われます。一方で、民間企業の筆記試験は企業ごとに独自の形式が多く、試験時間も比較的短いため、素早く正確に対応する力が重視されます。

筆記試験の効果的な3ステップの対策

ステップ①：過去問で出題傾向を把握する

まず最初に行いたいのは、志望企業や業界の過去問を確認して出題傾向を掴むことです。出題形式や設問の種類、難易度などを分析することで、対策の方向性が見えてきます。可能であれば複数年分の過去問を見比べ、頻出分野を見つけ出すと効果的です。

また、企業名が明記されていない形式のWebテストでも、SPIや玉手箱などのテストタイプを知っておくことで対応がしやすくなります。まずは形式に慣れることが、筆記試験対策の第一歩です。

ステップ②：問題集を選んで繰り返し練習する

次のステップとして、自分に合った問題集を使って練習を重ねることが大切です。市販されている対策本の中には、分野ごとに分かれているもの、模擬試験形式になっているもの、解説が詳しいものなど、さまざまな種類があります。

一冊を繰り返し何度も解くことで、出題形式に慣れ、ミスのパターンを減らすことができます。特に時間を測って解くことで、本番を意識した実践的な練習が可能になります。

ステップ③：間違えた問題は解説を確認し理解する

間違えた問題を放置せず、必ず解説を読んで理解し直すことが非常に重要です。単に正解を覚えるのではなく、「なぜその選択肢が正解なのか」「自分はなぜ誤ったのか」を言語化することで、知識として定着させることができます。

また、ノートに「間違いノート」を作って復習すると、自分の弱点が明確になります。試験直前にはそのノートを見直すだけで、効率よく弱点克服が図れます。

ステップ④：時間配分を意識した模擬テストを実施

筆記試験では制限時間が設けられていることがほとんどです。本番で焦らないためにも、模擬テストで時間配分の感覚を養うことが欠かせません。問題数が多い場合は、難問に固執せず、取れる問題から優先的に解く練習をしましょう。

模擬テストを解くことで、本番のプレッシャーに近い感覚を体験できます。結果の分析を通じて、自分の得意・不得意を客観的に把握し、改善につなげることが可能です。

ステップ⑤：弱点を補強し、苦手分野を克服

対策の最後のステップは、自分の弱点を補強し、苦手分野を重点的に対策することです。たとえば読解問題が苦手なら新聞や評論文を日常的に読むようにする、計算問題が不安なら毎日5問だけでも継続的に解くなど、習慣化する工夫が必要です。

短期間での克服は難しい分野もあるため、早めに弱点を見つけ、計画的に取り組むことが重要です。繰り返し学習することで、苦手意識が薄れ、自信を持って本番に臨めるようになります。

筆記試験の直前対策と当日準備

持ち物の確認（筆記用具・電卓・身分証明書）

試験当日に備えて、必要な持ち物を前日までに準備しておきましょう。筆記用具は鉛筆やシャープペンシル、消しゴムのほか、定規や電卓が必要な場合もあります。受験票や身分証明書も忘れずに持参しましょう。

また、会場によっては腕時計の使用が認められていないこともあるため、案内文や事前連絡をしっかり確認しておくことが大切です。トラブルを避けるためにも、予備の筆記具や替え芯なども用意しておくと安心です。

服装の注意（スーツ・カジュアルどちらが適切？）

筆記試験の服装は企業の案内に従うのが基本ですが、特に指定がない場合はスーツが無難です。筆記試験は面接ではありませんが、社会人としての常識や清潔感は評価されるポイントの一つです。

会場によってはリクルートスーツが多く並ぶこともあります。服装に迷ったときは、周囲と浮かない格好を心がけると良いでしょう。オンライン受験の場合でも、カメラがオンになる可能性がある場合は上半身だけでもスーツを着用するのが好ましいです。

試験開始前に確認すべきポイント

試験当日は、開始前に必ず試験時間や終了時刻、解答形式（マークシートか記述か）を確認しておきましょう。試験中の注意事項や禁止事項も含め、事前にしっかり把握しておくことで、落ち着いて本番に臨むことができます。

また、早めに会場入りすることで、トイレや飲み物の準備、心の整理ができます。会場で慌てることがないよう、スケジュールに余裕を持って行動することが大切です。

筆記試験でよくある質問（FAQ）

筆記試験はどのくらいの得点で合格？

筆記試験の合格ラインは企業によって異なりますが、一般的には全体の7割以上を目安にすると良いとされています。ただし、他の選考要素とのバランスによって多少前後する場合があり、特に高倍率の企業ではさらに高得点が求められることもあります。

また、科目ごとに最低点が設定されているケースもあるため、得意分野だけでなく満遍なく対策することが重要です。

時間が足りない場合の対策は？

時間が足りなくなる原因はさまざまですが、主に「問題をじっくり解きすぎる」「解けない問題に固執してしまう」などが挙げられます。これを防ぐには、解ける問題を優先して手早く進め、時間をかけるべき問題にしっかり取り組む習慣を身につけることが有効です。

また、模擬試験で時間感覚を養い、試験本番でも冷静に時間を配分できるように練習を重ねましょう。

小論文で文字数が足りないとどうなる？

小論文においては、指定された文字数を大きく下回ると、評価の対象外とされる可能性があります。これは、与えられたテーマに対して自分の意見を十分に展開できていないと判断されるからです。

指定の8割程度は最低でも書くことを目標にし、内容が薄くならないように意識して構成を整えましょう。文字数を稼ぐために無理に冗長な表現を入れるのではなく、具体例や論点の補足で内容の厚みを出すことが重要です。

筆記試験にパソコン持参が必要な場合もある？

Webテストなどを指定会場で受験する場合、企業から「パソコンを持参してください」と指示されるケースがあります。この場合は、バッテリーの充電やブラウザの推奨設定、通信環境の確認など、事前準備が必要です。

持参が必要かどうかは、企業からの案内をよく確認し、不明点があれば早めに問い合わせるようにしましょう。必要なソフトウェアやIDの発行についても、余裕を持って準備しておくと安心です。

まとめ

筆記試験は、就活生にとって避けて通れない重要な選考ステップです。企業ごとに異なる出題形式や評価基準に対応するには、まず試験の特徴を正しく理解し、計画的に対策を進めることが不可欠です。

基礎学力や一般常識、小論文、適性検査、外国語試験まで幅広い出題範囲に対応するには、自分の得意・不得意を見極め、段階的に対策を行うことが重要です。過去問の分析から始め、問題集での反復練習、模擬試験での実践力強化と進めていけば、着実に合格に近づくことができます。

万全の準備を整えて、安心して筆記試験に臨みましょう。この記事が皆さんの就職活動の一助となれば幸いです。